ギリシャを愛したローマ皇帝
《変わり種ローマ皇帝》 3.ユリアヌス帝
令和も4年の今、為政者が「この世を江戸時代に戻そう」と言いだしたら、みなさんはどう思われますか?
ユリアヌス(単独在位361-363)はコンスタンティヌス朝末期の皇帝です。父親を戦争で亡くし、家族を親族のコンスタンティウス2世に殺害されると、幼いユリアヌスは追放された土地でギリシャ・ローマの古典を学びました。そして古代の魅力にすっかり感化されてしまいました。
コンスタンティウス2世の没後、単独皇帝となったユリアヌスは、キリスト教国に向かうローマを、多神教のローマへ、さらには古代ギリシャの世界へと変貌させてゆきます。コインの肖像をご覧ください。顎鬚の肖像は古代社会の復権の象徴。ユリアヌス帝はじっさい、元老院を尊び、キリスト教を迫害し、教会を古代の神々の神殿へと変えてゆきます。
紀元363年、ユリアヌスがペルシャ遠征の途次に負傷して命を落とさなかったら、ビザンティンのローマは古代ギリシャとまでは言わないまでも、多神教のローマに逆戻りしていたかも知れませんね。
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