アダ・ネグリの詩1.
《アダ・ネグリ ADA NEGRI の詩》‐1.
雪 Nevicata
野原の上に 道の上(へ)に
音なく軽(かろ)く 雪のふる
ちらりはらりと 舞ひながら
しずかに雪がおちてくる
白き雪片 舞ひ踊る
空の広きに 戯るる
そして大地に 降りてくる
あそび疲れて 降りてくる
屋根の瓦で 煙突で
石碑の上で 庭園で
ひとひらごとに 重なりて
そつと眠りに 就きまする
なべて静寂(しじま)に つつまれて
記憶の外(ほか)に 忘らるる
げに世の中は つれなくも
口をつぐみて 押し黙る
さはれ果てなき 静けさに
想ひはもどる 来しかたに
褪せてつめたき 恋ごころ
むねに熱き日 なつかしむ
Masumi Kagawa
レスピーギが作曲したことで有名な「雪」です。日本語訳がいくつか出ているので、あえて文語体(擬古文・七語調)で訳してみました。
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