幽閉された公妃

「愛の封印」(1926年刊)はグラツィア・デレッダ Grazia Deledda によって書かれた、ほとんど唯一の歴史短編小説です。

小説の舞台は18世紀のサルデーニャ島。フリードリヒ2世の嫡子エンツォと政略結婚によって結ばれたアデラージャでしたが、エンツォは彼女との結婚を正式に認められず、彼は婚姻後すぐにイタリア半島に戻され、戦争に敗れて囚われの身となります。公妃は島の館に残されて、秘密を持つ侍女とともに、夫を待つ淋しい日々を送ります。ある日、そのような閑寂な生活を打ち破ったのは、エンツォに仕える身の一人の奇怪な僧侶の出現でした。—

女性として世界で2番目にノーべル文学賞を受賞した、イタリアで唯一の閨秀作家による傑作短編を、来年刊行予定の女性作家集『薔薇のアーチの下で』(イタリア文藝叢書)に収録いたします。

※写真は晩年のグラツィア・デレッダの肖像です。

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