蛮人の打刻した貨幣
古代ローマの作る貨幣は信用が高かったことから、偽のコインも多く出回っていました。偽物のコインは共和制ローマの時代から作られ、古代のローマコインの製造史とほぼ重なるように、ビザンチン時代まで続きました。
それでは、偽コインは誰が、どういった目的で製造していたのでしょう? もちろん、ローマ時代のローマ人も作っていましたが、多くはローマの周辺地域の民族が作っていました。それをバー野蛮人(バーバリアン)のコインと言います。言うまでもなく、市場に流通させるためです。
野蛮人のコインは銀貨も銀の含有率が悪く、コインに刻まれた肖像もデータもきわめていい加減です。ローマはこの偽コインを嫌って、傷を付けたり縁を削ったりして摘発していましたが、偽コインは一向に減らず、それどころか庶民は本物の貨幣とともに平気で使っていたため、のちの世までかなりの量のこうしたコインが残ることになりました。
写真はその野蛮人の作った偽コインの一枚です。特徴から3世紀後半~4世紀ごろのものと推定されますが、このコインの肖像など、あまりにひどすぎて、歴代の皇帝の誰を模したものかわからないほどですね。
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