デレッダの生家で
【 ヌーオロ 】
岩の窪みに水がたまるように
山の窪みに町ができていて
ぼくたちのバスは
のろのろと、ヌーオロの町に降りてゆく
町の真ん中に駅があって
それは巨きなおもちゃのような駅で
ぼくたちはそこで下ろされて、今度は
高台のホテルへと
スーツケースを押しつつめざす
デレッダの生家の
中庭でひろった、みどりの団栗
図書館でもらった
名も知らぬ詩人の詩集
町はずれで仰いだ
老人の横顔のように淋しい山塊
夕空に散った
塒へといそぐ野鳥の群れ
いつか、残りの人生のどこかで
これらの象徴する意味を
解くことがあるだろうか
いま、ここに在るために
捨ててきた多くのものどものことを
顧みる日が来るだろうか
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