アルダ・メリーニの孤独
《作家と心の風景》
ミラノ・アッフォーリにあるパオロ・ピーニ精神療養施設。
ノーベル文学賞に最も近いと謳われた女流詩人アルダ・メリー二は、後半生をこの施設の中で過ごしました。メリーニはここで、愛する青年ピエールに宛てた七通の手紙を書いています。ピエールは彼女にとって、理想的な恋人であり、父親であり、子供です。ピエールは毎日のように会いに来ていましたが、あるときふいに彼女の前から姿を消します。メリーニは彼を探し出すために、ある日精神療養所の柵を越えて、公園をさまよいます。そこでようやく、ピエールがじぶんの心の中で生まれた架空の人物だったと悟るのです(Lettere a Pierre: Dal Paolo Pini Affori 1965)
実際のメリーニは男一人と女二人の母親でした。自由を愛し、奔放な生涯を生きたアルダ・メリー二でしたが、その晩年は明るいものとは言えなかったようです。
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