アダ・ネグリの詩3.

《アダ・ネグリ ADA NEGRI の詩》


 冬の朝 Mattinata invernale


あれはたしか 十二月のこと

平野に 粗い、氷の粒のような

青白い雪が 降っていた

夜明けの澄んだ、しずかな朝だった

と、そのとき 東の空に

陽の光がきらめきあらわれた

雪の景色が一変した

まるで、口づけされたように 薔薇色に

やつれた 小枝の上に

まだ生き生きした草の上 荒野の上に

甘い、ここちよい淑気がみちあふれた

けがれない 朝


※第二句集『嵐 Tempeste 』(1895年) の一編。アダ・ネグリらしい作品で、冬の朝の一瞬の光の変化、一変する情景を繊細に表現しています。

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