コンスタンティヌス大帝

《コインが語るローマの歴史》 コンスタンティヌス大帝

 コンスタンティヌス一世、ことガイウス・フラヴィウス・ヴァレリウス・コンスタンティヌス(272-337)の大きな業績を2つ挙げるとすれば、キリスト教を公認したことと、そのころ東西に分かれていたローマ帝国を統一し、首都をローマからコンスタンティノポリス(現:イスタンブール)に移したことでしょう。

 コンスタンティヌス一世は313年に「ミラノの勅令」を出して、帝国ではじめてキリスト教を公認しました。のちに大帝と呼ばれるのも、帝国統一のためばかりではなく、このことが大いに寄与していると思われます。なぜなら、帝政期に大帝と呼ばれるほかの2帝も、テオドシウス帝(347-395)はキリスト教を国教に定め、ユスティニアヌス帝(483-565)は聖者と謳われるなど、キリスト教の隆盛におおいに貢献した皇帝たちだったから。彼らよりもおおきな功績を遺した皇帝、たとえばアウグストゥス帝やトラヤヌス帝、ディオクレティアヌス帝たちは、けっして大帝と呼ばれることはありませんでした。

 さて、皇帝は首都をコンスタンティノポリスに移したとき、記念の通貨を2枚発行しました。先の画像は表にローマ神、裏にカヌーに乗る勝利の女神ヴィットリアが刻印されています。後の画像は表はおなじローマ神、裏はローマ建国の祖である雌オオカミとロムルス、レムス兄弟を刻印しています。これらのコインは発行枚数が多く、比較的安価に入手できますが、ここに揚げたほどコンディションの良いものは、やはりそれなりの価格で取り引きされています。

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