イタリア演劇の20世紀
『世界戯曲全集』第38巻 伊太利篇 昭和4年 近代社刊
イタリア演劇の全盛期といえば、やはり16世紀に誕生した仮面即興劇、アルレッキーノら道化師たちの跳梁するコンメディア・デッラルテの時代だろう。18世紀にはイタリアのモリエールならぬカルロ・ゴルドーニが孤軍奮闘するものの、次にイタリア演劇が世界の表舞台に登場するのは、19世紀末から20世紀初頭にかけての近代劇の時代ではないだろうか。
このたび読んだのは昭和4年に刊行された『伊太利現代劇集』。イタリアの戯曲は明治、大正時代を経て、わが国でも第二次世界大戦中までよく翻訳・紹介されていたが、戦後は忘れられたようにほとんど紹介されなくなった。ルイジ・ピランデッロ亡きあとはノーベル文学賞を受賞したダリオ・フォを待たなければならないが、20世紀のイタリア演劇はまるで、奇想を競っているかのように奇妙で奇天烈でグロテスクな作品が目立つ、と感じるのは僕だけだろうか。
ある芝居では登場人物たちが戯曲を書いた作者を探して舞台を駆けまわり、別の劇では王様を食べてしまった手偉人たちが腹痛を覚えて王化する。 ちなみに、本書に収められてる戯曲は以下の通り。
ルイージ・キャレルリ 「仮面と顔」
ルイージ・ピランデルロ 「作者を探す六人の登場人物」
「ヘンリイ四世」
「みんな尤もだ」
「莫迦」
「シチリアのしなの木の実」
ロッソ・ディ・サン・セコンド「情熱のある人形芝居」
F・T・マリネッティ 「バルドリア王」
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