出版のカンパリズム
イタリアは地方の書店が面白い。カンパリズムの国イタリアでは地方の書店が独自の本を出していて、それぞれに特色がある。
上の本はトレントの書店が出したイタリア作家の『新短編集』の2巻本で、僕の見るところ、大手のエイナウディやボンピアーニ、リッツォーリの出しているアンソロジーよりも内容が充実している。著名作家のラインナップで、しかもすでに定評のある名作を揃えているのだ。第一巻はバッサーニやカッソーラ、プリモ・レーヴィなど23人、第二巻はパゾリーニやパヴェーゼなど17人を収録。
ところがイタリアの短編集は概して女流作家を入れない。『新短篇集』の第二巻にはなんと女流作家が一人も入っていない。ほかのアンソロジーも似たり寄ったりだ。
僕の知る限り、下の本はピアチェンツァの書店が発刊したおそらく唯一の『女性作家集』。第一巻にバルバラ・アルベルティ、ダーチャ・マライーニ、アンナ・マリア・オルテーゼなど22人、第二巻に20人が収録されている。恥ずかしながらこの3名しか名前を知らなかったが、それでもイタリアで女流だけを集めた短編集が出るのは快挙というほかない。
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