コモ湖の町の大騒動!
アンドレア・ヴィターリ 『オリーブも含めて』
こんな小説が読みたかった! ある意味でとてもイタリアっぽい作品。なぜって、名だたるイタリア小説というのはどれも、ちっともイタリアっぽさがないし。
北イタリアの田舎町ベッラーノで一人の老婆が息を引き取った。さて自殺か他殺か、はたまた病死か事故死か。老女の死をきっかけに町の不良少年たちやその親たち、郵便局長、市長までを巻き込むさまざまな事件が同時多発的に勃発し、互いに絡み合う。推理小説仕立てで展開する500ページあまりの滑稽で複雑怪奇な物語もあっという間に読めるのは、ストーリーの面白さと登場人物たちの個性豊かな魅力によるだろう。そしてすべての謎は作品タイトル「オリーヴも含めて」に集約されていく。見事な構成と抜群のエンタ性。謎解きはディナーのあとで。そう、この作品、推理小説ファンがいちばん騙されるにちがいない。
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