ひたむきな愛
マティルデ・セラーオ( Ⅿatilde Serao 1856-1927 ) はノーベル文学賞に6度もノミネートされた作家。ギリシャ貴族の血を引く彼女は男性作家顔負けの雄渾な歴史小説を書き、政治告発の書『ナポリのはらわた』(1884年)はいまでも国内外で読み継がれる長編エッセイです。著書はほかに『リッカルド・ジョアンナの生涯と冒険』(1887年)『クッカーニャの国』(1891年)など多数あります。
「ひたむきな愛」は『恋人たち』(1894年)の中の一篇で、ひとりの恋人をめぐる二人の女性の対話(ダイアローグ)で構成された短編小説です。愛する女性のためには犯罪者になることも厭わない男。彼は果たして究極の愛の実践者か、はたまた狂気に駆られたただのストーカーか? 『恋人たち』は19世紀末に書かれた女性作家の手になる愛の『解体新書』です。
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