小説を書く女優、サピエンツァ
翻訳書の出版には版権、著作権、翻訳権の取得といった、けっこう面倒な手続きがある。
以前、『青の男たち』というアンソロジーを出したとき、出版社に権利の保有者を探してもらっていて、いよいよ出版というときに、著者の一人の夫から出版社を通してこんな手紙をいただいた。「妻の作品を取り上げていただき、まことに有難うございました。妻は昨年他界しました。本編は短いものなので、料金のお支払いは無用です。それにしても、彼女の数ある作品のなかから、選りにも選って、このようなユニークな短編が採用されるとは、本当に驚きです!」
今年、ゴリアルダ・サピエンツァ没後26 年。あとで知ったことだが、彼女は作家であるとともに、とても個性的な女優でもあった。
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