まぼろしの山鶏

グラツィア・デレッダ(1871‐1936)は女性では歴代 2 人目のノーベル文学賞受賞作家である。孤島サルデーニャの内陸部ヌーオロに生まれ、島の民話を採集し、野性的で荒々しいサルデーニャの自然やそこに暮らす人々の内面を自然主義的な手法で容赦なく暴きだした。生涯に長編小説 40 冊、短編集 20 冊を出しており、日本でも第二次大戦前後に『正直な心』『悪の道』『砂漠の中』『離婚の後』『常春藤』『灰』などの長編と短編集が一冊邦訳・出版されている。

短編「やまどり」は 1932 年に出版された短編集『海辺のぶどう園』からの一篇。居酒屋で知り合った男のことばを信じて、まぼろしの山鶏を求めて猟犬とともに山上の猟場に向かったハンターの悲喜劇をコミカルに描いた傑作である。





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