黒の事件簿

ディーノ・ブッツァーティは大学在学中に大手新聞社”コッリエーレ・デッラ・セーラ”社に インターンとして入社し、ミラノで起きた主に軽犯罪をコミカルに記事にしていました

上品な服装をした三人の泥棒に騙されるアンチョビ売り、列車で町に到着するやいなや巧妙な策略に騙される農夫、被害者の身元確認のために警察署まで同行する泥棒、殴られて強盗されたふりをして今度は相手に強盗を仕掛ける若者。ガチョウを守ろうとして泥棒に揚げたスポンジを喰わされ、腹痛を起こしたブルドッグ。これらは、ブッツァーティが細部まで明瞭かつ豊かに表現し、ところどころに皮肉のタッチを加えることを忘れない、シンプルでやや素朴なイタリア社会を描いた肖像画、または小さなフレスコ画です

こうした小さなコラムが現在、15編残されていて、「黒の事件簿」と題して発表されています。この初期掌編コラム集を含むルポルタージュ作品集を『Dの犯科帳‐黒の事件簿 / 虐殺』として近日中に刊行いたします


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