カラカッラ帝の貌
《コインが語るローマの歴史》 カラカッラ帝
このたびは、カラカッラ帝のこの4枚のコインの画像をご覧ください。以前紹介した小ファウスティーナ皇妃同様、いやそれ上に、その生涯を肖像でたどることのできる、数少ない古代人物のひとりです。
カラカッラ帝、ことルキウス・セプティミウス・バッシアヌス(188-217)は、ルグドゥヌム(現ニース)に生まれた、セヴェルス朝の第2代君主です。彼は弟のゲタ帝を殺害して皇帝となるや、収税のためにすべての属州の住民にローマの市民権を与えたり、こんにちカラカッラ遺跡で知られるカラカッラ浴場を建造させたりしました。また、コインの歴史でいえば、銀貨から銀の含有量を減らして、デナリウス銀貨の2倍の価値づけをしたアントニニアヌス銀貨を発行したことで有名です。最後の図の1枚が、ダブルデナリウス、つまりアントニニアヌス銀貨です。
父親が皇帝(セプティミウス・セヴェルス帝)であり、じぶんもまたその座についたことから、図にあるように、幼少年期以降、晩年までの肖像が残されています。カラカッラ帝もまた暴君としてその名を汚し、部下による逆恨みを買って、わずか29歳でその生涯を終えました。
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