バスルームにて…

「エレベーター」でミラノの繁華街の外れにある帽子屋でふいに訪れた大人の男女のアヴァンチュールを描いた作家は、「バスルーム」では余命いくばくもない母を病院に見舞い、面影の失せた彼女の身体を洗ってやりながら昔日の思い出にふける。

 ミレ―ナ・ミラーニ(サヴォ―ナ1917-2013年)は絶えず新しい時代の空気と情景を描き出す作家だ。彼女はまた美貌に恵まれた画家、ジャーナリストの貌を持ち、P・T・マリネッティに「イタリア未来派女性の総司令官」と称揚されたり、妻帯していたアルベルト・モラーヴィアに求婚されたりと色彩豊かな生活を送ったが、2013年にこの世を去ったときにはなんと96歳になっていた。

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