失われたコイン
イタリア半島には失われたコイン(退蔵貨幣)と呼ばれるものが2点あります。①メタポントゥムの銅貨 ②トレベリアヌス帝の銅貨 です。
①は紀元前300‐250年ころのコインで、当時はマグナ・グレキアと呼ばれていた半島の土踏まずあたりにあるメタポントゥムの町ルカニアで発見されました。表がアテネ神、裏がフクロウの銅貨。じつはこの銅貨は流通した形跡がなく、打刻されてすぐに町が滅ぼされたために日の目をみないまま埋蔵されてしまったらしいのです(画像)。現在は一つの壺から発見された893枚だけが残っています。
②は紀元260年に小アジアで皇帝になると勝手に名乗りを上げたトレべリアヌス帝の銅貨。これはトレべリアヌスが皇帝に立ってすぐに発行されたと『ヒストリア・アウグスタ』という古代の本に記録があるばかりで、どこからもまだ発見されていません。じつはこの本自体が偽書の可能性があり、皇帝自体の実在性も疑われています。しかしもし小アジアのどこかでこの皇帝の銅貨が発見されたら、それは皇帝の実在を証明する大発見になること間違いなしです。
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