アダ・ネグリの「希望」

《アダ・ネグリ Ada Negri の詩》


 Spes

Quando, senza pietà, pungente e rude

In noi penètra il duol,

L'anima le sue grandi ali dischiude

Librata a vol.

In alto, insanguinata aquila altera,

Posa, ove tutto è gel,

Ove l'urlo non san de la bufera

La vetta e il ciel.

Pur, mentre impreca e sogghignando nega,

Angiol ribelle, il cor,

Mite una voce dal profondo prega:

Amore, amor!...


希 望

信仰を失うと、わたしたちのこころに

荒々しく、刺すように悲哀が忍びこむ

たましいは、その大きな翼をひろげて

舞い上がる

高みでそれは血まみれの鷲に姿を変え

いちめんに凍りついた土地に降り立つ

風雨の吹きすさぶ、荒涼とした場所に

頂上も空も

それでもかれは否認してあざ笑い罵る

天使はそれをいさめて、そのこころの

深いふちに、やさしく温和な声で祈る

愛を、愛をと


*アダ・ネグリの処女詩集『運命 fatalità 』1892年 からの一編。『運命』にはレスピーギが作曲した「雪」などの可愛らしい詩もありますが、総じて彼女の過酷な半生を反映した暗く激しい作品が多く収録されています。Spes はラテン語で希望。写真は「希望の女神」を刻印した紀元2世紀の古代ローマ金貨です。

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